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仕事へ行くため自宅を出た。
すると
進行方向に隣の奥さんが腰を「くの字」に曲げて
地面を見ながら一歩づつゆっくりと歩いている。
1歳か2歳くらいのお子さんがいる
若い奥さんだ。
追い抜きざまに
「おはようございます!」と声をかけた。
挨拶を返してくれたが
何か様子が変だ。
くの字の態勢のままなので不審に思い
「コントタクトレンズか何か落とさはったんですか?」
と聞いてみた。
すると
「今朝、腰やっちゃったんです・・
病院にはすぐ行ったんですけど・・」
顔を歪めながら
辛そうに言ってくる。
どうやらギックリ腰かヘルニアのようだ。
今から買い物に行くのだろうか
そんな状態で出かける根性は見上げたものである。
だが弱った。
奥さんの話が止まらない。
腰を痛めた直後のことから話し始めたのだ。
こっちは仕事の時間がせまっているので長話もできないというのに。
だからといって
「あ、そうなんですね」みたいな事を言って立ち去るのも愛想がない。
だってまだ2、3回挨拶をした程度のご近所付き合いだ。
無愛想な男と思われるのもシャクである。
しかし
相槌をうちながら話を聞いているのも限界があるというもの。
そうこうしているうちに
腰を痛めた時点からようやく現時点に至る話しのところまできた。
もうすぐだ。
もうすぐ話が終わる。
そして
話が終わったであろうところで絶妙な間がやってきた。
間髪入れず
「お大事になさってくださいね!」
ついに完結。
その場を後にした。
時間があるときなら大歓迎なのだが
いかんせん、急いでいるときは厳しい。
「これは誰も悪くないただのハプニングである」
猛ダッシュしながら心の中でつぶやいた。
たまにこういう事態に陥るが
未だに良き解決策が見つからない。
その場の空気の主導権を握れれば
打開策が見つかるやもしれぬ。
だとすれば
もっと攻めの姿勢が必要だ。
普段の何気ない会話から・・・
って、どんだけ壮大やねん。
しかしながら
これはなかなか難しい『テーマ』なのである。



