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ナレーション収録現場からの帰り。
電車内での出来事。
阪急梅田駅発の電車。
帰宅ラッシュ時間帯で車内は混雑していた。
自分は座席の前で、つり革を持って立ち
発車するのを待つ。
どんどん乗客数は増え
あっという間に満員状態に。
発車間際、
自分の隣に中年のサラリーマンが割り込んできて
大きめのバッグを座席の上に設置された荷物棚へ持ち上げた。
すると
そのバッグのチャックが開いていたようで
文庫本くらいの大きさの直方体の紙包みがストンと落ちた。
そして、真下に座っていた年配の男性の膝を直撃したのだ。
紙包みの角がモロに当たったのだろうか。
その男性は膝を両手でさすりながら悶絶状態である。
中年のサラリーマンは
「申し訳ありません」と謝罪し
床に落ちたその紙包みを拾い上げ、バッグにしまった。
それで、事は済むと思っていたのだが
そうは問屋が卸さなかったようだ。
年配の男性は目の前に立つそのサラリーマン睨みつけ
「何を落としてくれたんじゃ」
と、怒りを押し殺したような声を発した。
サラリーマンは再度
「申し訳ありません」と言い、そのまま黙り込んだ。
年配の男性は、しばらく彼を睨んだままでいたが
怒りを抑える事に成功したのか
そのまま寝たようである。
(膝の激痛で気絶したのかもしれないが)
本気の怒りを押し殺した『生の声』は
そう聞けるものではない。
なるほど
よく目にする演技とは違った趣き。
くだんの年配男性には申し訳ないが
「良質な教材をありがとう!」なのである。



