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魚屋の前を通り過ぎる時
ふと気になった事がある。
タイムセールの時間だったらしく
大将らしき人が客へ向けて声を発していた。
「へいらっしゃいらっしゃいただいま１パック千円でお買い得ぅ〜ぜひ見てって買ってって〜へいらっしゃいらっしゃい安い今がお買い得ぅ〜らっしゃいらっしゃい」
息継ぎをせず、
文を切らず、
声量は少なめ、
魚屋ではよく聞く鼻に抜けるような響く声で
その大将らしき人は声を出し続けていた。
ふと気になった。
つねに鼻濁音のような声なのは何故なのだろう。
今まであまり気にしたことはないが
よく早朝のセリでも聞こえてくるあの声である。
周りがうるさい環境では
あの声がよく通るのだろうか。
かき消されて余計に聞こえない気もするが・・。
しかし
多くの魚屋でその声が聞かれるということは
何かあるのだろう。
四六時中、発声し続けているから
声帯が潰れてもうその声しか出ないのか。
謎は深まるばかりである。
